ロンドン・ナショナル・ギャラリー

久しぶりの更新だ!
今月初旬にロンドンを訪れた際の出来事を書いてみたいと思う。実はロンドンへはほぼ毎年訪れているのだが、残念ながら仕事での訪英のため、なかなか自由な時間というものを取ることができない。しかし、今回の訪問で、数時間ではあったが自由な時間を取ることができた。というわけで、以前からどうしても訪れたかったロンドン・ナショナル・ギャラリーへと向かった。滞在していたホテルはヴィクトリア・ステーションに程近かったので、地下鉄で行ってもよかったのだが、ロンドンの町並みや人々を満喫するため徒歩で行くことにした。行き方は分かっていたので問題はなかった。そして約30分ほどで目的地のナショナル・ギャラリーに到着した。到着した時、時間はすでに15:30を少し廻っていた。この日の閉館時間は18:00。ギフトショップは15:45に入り口が閉められてしまう。のんびり歩いて来るほど時間に余裕などなかった、と後になって後悔していた私だが、とにかく目当ての絵を鑑賞するため中へと入った。ご存知の方も多いとは思うが、このナショナル・ギャラリーは入場料無料である。このような素晴らしい環境があるが故、この国では芸術も一般人に浸透しているのであろう。日本も見習ってほしいものである。しかし、日本で高い入場料を払い慣れているせいか、個人的にはどうも無料というのはしっくりこない。だが心配することもなかった。館内出入り口付近にはドネーション(寄付箱)が設置されていたからだ。話が前後してしまうが、私はこの美術館を去る際、大変有難い絵画を鑑賞させてもらったと本当に痛感した。だから、寄付箱へはその感謝の分だけ寄付をさせてもらった。

さて、話を戻そう。私は館内に入ると、まず案内所で館内の地図をもらった。とにかく広く、同じような部屋が縦横に連なっているのである。私はその地図を片手に、ただひたすら「フェルメール」作品へと一直線に向かった。
このナショナル・ギャラリーにはフェルメール絵画が2作品所蔵されている。一つは「ヴァージナルの前に立つ女性」、そしてもう一枚は「ヴァージナルの前に座る女性」である。
前者の作品は1673年、後者はフェルメールが晩年に描いたとされる1675年頃の作品である。この2枚の作品についてはいろいろ(対として)論評されている作品であり、特に後者の「ヴァージナルの前に座る女性」については、作品全体が雑に描かれており、フェルメール独特の繊細さが感じられない作品であるとの酷評が多くの出版物に書かれている。
しかし、私自身はこの2枚の作品をこのナショナル・ギャラリーで、この目で観ることができたので大満足である。芸術に素人な私であり、深く追求するほど知識もなく、ただ、私は「フェルメール」という画家が描いた絵を間近にすることで、彼と同じ時間を過ごすことができるような、そんな不思議な錯覚を楽しんでいる。
今回、ロンドン・ナショナル・ギャラリーを初めて訪ずれたが、館内では展示されていた作品を、鼻息がかかるほど近くまで寄って鑑賞することができ、また、館内が広く、ほかの有名画家作品が数多いため、人々は一つの作品の前にカラスの群れを作るようなことをしない。だから私はフェルメール2作品を長時間独り占めすることができた。これは本当に贅沢な時間であった。
今度、ロンドンを訪れる際は仕事ではなく、ぜひともプライベートで行きたいものである。今回の訪問で時間があれば「テート・ギャラリー」にも行きたかったのだが、残念ながら願いは叶わなかったので、プライベート旅行でその願いを叶えることとしよう!
シンタ