フェルメール「地理学者」と思いがけない収穫


本当に久しぶりのブログ更新である。日々、まめに更新してこそ「ブログ」の意味があるのだが、3日坊主の性格上、どうしても続かない。そのせいでダイエットも続かず、気付けばまたリバウンド。特にこのゴールデンウィークは何もせず、とにかく「食う」「飲む」「寝る」「出す(きたなくてゴメンなさい・・・)」といった生活を送っていたせいで、なんと体重が3桁の大台にのってしまった。毎年7月にある定期健診までになんとかしなければ、(げっ、あと2ヶ月もないじゃん・・・)と今から頭を悩ます今日この頃である。

さて、体重の話はさておき、昨日の5月6日(金)、久しぶりに美術館へ足を運んだ。渋谷の「Bunkamuraザ・ミュージアム」で3月3日(木)から開催されている、「フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展」である。まだまだやってるから大丈夫、とのんびりとかまえていたが、気付けばすでに5月6日。今月22日(日)が最終日であり、余裕かましてる場合ではなかった。

てなわけで、久しぶりに大好きなフェルメールの作品が拝むため、渋谷へと向かった。この日は就業時間終了後に行ったので、現地に着いたのが17時45分ごろだった。人もまばらで、割とのんびり作品を鑑賞することができた。今回の見どころはやはりフェルメールの「地理学者」であろう。この作品はフェルメールの30数点しかない作品のなかで、2点しかない男性単身を描いた作品の一つであり、ちなみにもう一つは「天文学者」である。(どちらかというと、後者の作品のほうが個人的には好きであるが・・・)

今回の絵画作品はすべて、ドイツ、フランクフルトにある「シュテーデル美術館」所蔵であるが、同美術館の改築工事に伴い、今回の絵画が貸し出し可能となり、この絵画展が実現できることとなったのである。また、「地理学者」の作品の中に描かれているコンパスやヨーロッパ海図(神戸市立博物館蔵)や地球儀(松浦史料博物館蔵)も「特別出品」として展示されていた。

90作品以上も出展しているこの絵画展だが、やはり私のお目当てはフェルメール作品である。とりあえず、「地理学者」がどこに展示されているのかをパンフの館内マップで確認しながら、各作品を思う存分、時間をかけて観て回った。そしてついに「風俗画と室内画」のセクションにそれは展示されていた。他の絵画とは確実に別扱いである。他の絵画は手を伸ばせば届く距離まで近づいて見ることができたのだが、「地理学者」の前だけ、2メートルほどの距離が保たれ、鉄柵が作品を囲むように設置されていた。これは「やりすぎなのでは?」と感じた。あまりにも作品との距離がありすぎたせいか、油絵の特徴である凹凸や質感、細部などを見て取ることができず、ただのポスターがご立派な額に入れられ飾られているようにしか見えなかった、というのが正直な感想であり、本当に残念であった。実際、私と一緒に行った同僚も後で聞いたら同じ意見であり、「あれ、本当に本物かね?」と二人で疑いながら帰っていったのが印象的であった。

しかし、今回は思いがけない収穫があった。それは、絵画展の最後の「地誌と風景画」セクションに展示されていた作品の中の一枚がとても素晴らしかったことである。(こちらはしっかりと近くから鑑賞することができた。)その画家の名はアールト・ファン・デル・ネール。少し調べてみると、彼は夕日や月光の光に浮かぶ風景画を好んで描いたオランダバロック期の画家(1603-1677)であり、「夜の画家」と異名をもっていた。(らしい・・・) その彼の作品が今回、2点展示されていた。「漁船のある夜の運河」ならびに「月明かりに照らされた船のある川」である。共に名画であるが、私は特に前者の作品に魅了された。

「漁船のある夜の運河」は月明かりに浮かぶ空、雲、運河、木々、建物、そして人々を細部までとても繊細に丁寧に描かれている。この作品を眺めていると、いつしか癒されている自分に気付く。画家アールト・ファン・デル・ネールの名前を聞いたのは正直今回が初めてであるが、本当に素晴らしい名画であり、彼の作品をこれから応援していこうと思う次第である。ちなみに、静岡県立美術館に彼の「森の風景」という作品が所蔵されているとのことで、いつか機会を見つけて行ってみようと思う。

シンタ